行きたい場所がない


自分が(南)埼玉出身だからか、東京に憧れることすらなく、りんごを落とせば地面に当たるのと同じように「中心といえば東京だ」とぼんやり感じていた。
過去形で書いた。でもそれは、この考えが変わったからではない。
ただ、「中心なるものが本当にあるのだとすれば」という条件を付記せずにはいられなくなった。
正直言って、どこにも中心という言葉に相応しい場所はないのではないかと感じることが増えた。
いまの日本に、自分が心の底から価値があると感じられるシーンはどこにもない感じがする。
そもそも、そんなものはこの国にないのだとしたら、中心とか周縁とかいう言葉は、ぼくの人生にとって意味を持たなくなる。
ぼくが地方に来て一番よかったのは──というより住む場所を関東からぐっと引き離してよかったのは、この感覚を得られたことかもしれない。
関東に住んでいなくて、あるいは東京に行けなくて、マジ悔しいと感じる出来事はほとんどない。かなしい。