読書リスト(2017年6月)|アクセル・ホネット、小澤京子、高野文子、廣瀬純


今月は、下記に載せているような本とは無関係にいろいろ考えた。
HDLでの発表があったので、デザイン系の本の読み直しを月末に随分やった。
特にダン&レイヴィー『スペキュラティブ・デザイン』は勉強になった。周辺の論文などは熱心に読んでいたわりに、あんまりこの本自体はちゃんと読んでいなかったことがわかった。
学生時代のプロジェクトからレトリカ、そしていま津和野でやっていることを一貫性を持たせながら話すとき、この概念はやはり役立つ。
ポコラヂで話した、宇宙旅行としての過疎地探訪みたいなネタとも通じる。
以下リスト。

松永澄夫『経験のエレメント―体の感覚と物象の知覚・質と空間規定』
"人間の「物的世界」認識の至微を、体感覚・体運動・物象の知覚というエレメントを通じ、既成概念に埋没することなく、日常経験に密着して描き切った大作"

松岡真宏、山手剛人『宅配がなくなる日 同時性解消の社会論』
"些末な用事に居合わせたくない『同時性の解消』" "荷物が届くのをじっと待つのではなく、自販機や郵便ポストのように設置される近所の宅配ボックスに取りに行く時代がやってくる"

東浩紀編著『ゲンロン5 幽霊的身体』
特集系の記事はもちろんだけど、プラーブダー・ユンの連載が毎回面白い。訳文が本当に素晴らしい。

早稲田文学会『早稲田文学 2017年初夏号』
数年ぶりに買ったんじゃないかしら。面白かった。

pha『ひきこもらない』
傑作。素晴らしく読ませる文章で書かれていてエモさがある。『持たない幸福論』で書かれた理論(?)を自らの身体で更新するような仕事。
"社会の多くの人が毎日こなしている(らしい)ことが自分にはできない"、"既存の生き方や暮らし方は参考にならない。だから、誰も知らない新しいやり方を探さないといけない"

若尾裕『サステナブル・ミュージック これからの持続可能な音楽のあり方』
"私たちは音楽のヒューマニズムから自由になれるのだろうか?" "明るく楽しい音楽はどこから来たのか? なぜウケのわるい難しい音楽が創り続けられてきたのか?"

フェリックス・ガタリ『カオスモーズ 新装版』
"未来の思想家ガタリがその思考と実践を結晶させた遺著にして代表作を没後25年目に復刊。 いまこそ読み解かれるべき名著の名訳"

椎名亮輔(編著)『音楽を考える人のための基本文献34』
"古今の必読文献34冊を解説! この1冊が思考の礎になる。全音楽人必携!"

スティーブ・シルバーマン『自閉症の世界 多様性に満ちた内面の真実』
おもしろそう。ブルーバックス安定。
"20世紀初頭に研究が始まった自閉症" "「脳多様性(ニューロダイバーシティ)」という新たな視点から捉え直す科学ノンフィクション"

廣瀬純『闘争の最小回路―南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』
"面白いのはチャベスだけじゃない! 運動≠政権 反米左派政権の枠組みからも溢れ出す脱領土的欲望、ラテンアメリカ社会運動の最前線"

廣瀬純『美味しい料理の哲学』
"いかにして「美味しい料理」は創造されるのか、いかにして「美味しさ」は発生するのか、そのようなことを集中的に問う本書は、いわば「美味しさの論理」とでも呼ぶべきものに呼びかける本でもあります"

高野文子『ドミトリーともきんす』
"不思議な学生寮「ともきんす」に暮らす〈科学する人たち〉朝永振一郎牧野富太郎中谷宇吉郎湯川秀樹……彼らが遺した文章と一組の母娘の出会いを描く、高野文子11年ぶりの新作コミック"

イブ・ヘロルド『Beyond Human 超人類の時代へ』
"人類が間もなく受け入れようとしている医療テクノロジーの急激な進歩は、医学の歴史上、前例のない規模の希望と危険に人を直面させる"

浦久俊彦『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』
"リサイタルという形式を発明した「史上初のピアニスト」"、"失神する女たちが続出した。聴衆の大衆化、ピアノ産業の勃興、スキャンダルがスターをつくり出すメカニズム"

ゲイ・タリーズ『覗くモーテル 観察日誌』
"天井裏に自分だけの覗き部屋を作ったモーテル経営者、30年の奇妙な記録"、"三十年に及ぶ記録からはアメリカの世相、性意識の変化が見えてくる"

ジョナサン・イスラエル『精神の革命――ラディカルな啓蒙主義者と現代民主主義の知的起源』
"スピノザの思想的系譜につらなる"、"「ラディカルな啓蒙主義者」たちの思想が、実はフランス革命の真の原因であり原動力であった"

ヘンリー・ペトロスキー『本棚の歴史』
"かつて本は鎖で本棚につながれていた!巻物から写本、そして印刷術の発明―本の進化とともに、収納法と本棚そのものも進化してきた跡をたどる"

カルロ・フェルトリネッリ『フェルトリネッリ』
"フェルトリネッリは斬新な出版の世界を広げる。しかし、彼のその強い理念こそが、自身を現実の革命運動へと追い込んで行く…。"

ルスタム・カーツ『ソヴィエト・ファンタスチカの歴史』
"革命後のソ連文学史は、ファンタスチカ(SF+幻想文学)による権力闘争の歴史" "反革命的メタメタフィクション"
死ぬほど面白そうで値段もそれほど高くないから買ってしまった……。

ブレイディみかこ『花の命はノー・フューチャー DELUXE EDITION』
"移民、パンク、LGBT、家政婦。地べたから視た英国社会をスカッとした笑いとともに描く。200頁分の大幅増補! 解説 栗原康 帯文 佐藤亜紀"

ジル・ドゥルーズ『ベルクソニズム』
"潜在性と現勢性とはいかなる関係にあり、持続の一元論とは何を意味するのか? 長く親しまれた『ベルクソンの哲学』(宇波彰氏訳)から40年以上を経て、近年の研究動向を取り入れた新訳刊行!"

小澤京子『ユートピア都市の書法 クロード=ニコラ・ルドゥの建築思想』
"都市構想と性愛、性的建築と身体管理、書物としての理想都市、世界創造と建築の起源。呪われた建築家の幻視と理想とともに時代の認識と欲望のあり方を炙り出す"

北田暁大、栗原裕一郎、後藤和智『現代ニッポン論壇事情 社会批評の30年史』
"本書で批判の俎上にあげられているのは、柄谷行人上野千鶴子内田樹高橋源一郎宮台真司小熊英二古市憲寿"

ばるぼら、さやわか『僕たちのインターネット史』
買った。okadada氏が言及されてた。

キャリー・パテル『墓標都市』
"文明崩壊から数百年。人々は地上を厭い、巨大な地下都市国家を築いて暮らしていた。その一つ、ヴィクトリア朝階級社会が栄えるリコレッタでは、崩壊前の知識は重大なタブーとされ、政府によって厳重に管理・秘匿"

上尾真道、牧瀬英幹(編)『発達障害の時代とラカン派精神分析―<開かれ>としての自閉をめぐって』

アンリ・ベルクソン『思考と動くもの (新訳ベルクソン全集)』

人工知能学会『AIと人類は共存できるか?』

鈴木紀之『すごい進化 「一見すると不合理」の謎を解く』

アクセル・ホネット『私たちのなかの私 承認論研究』

ギュンター・ペルトナー『哲学としての美学―“美しい”とはどういうことか』

ヘンリー・E. アリソン『カントの自由論』

藤本夕衣、古川 雄嗣、渡邉浩一ほか『反「大学改革」論 若手からの問題提起』

松岡正剛、ドミニク・チェン『謎床 思考が発酵する編集術』

ところで、こういう読書リストづくり、後輩も始めていていいなと思った。
読書リスト(201706) 伊藤計劃、永田カビ、pha - 涅槃
友達のリスト見るのすげえ楽しい。
友人諸氏とともに、知的好奇心を持ったまま生きていきたいものです……。