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『伊藤計劃記録 第弐位相』(「制御された現実とは何か」 / 「つぎはぎの王国」)


伊藤計劃伊藤計劃記録 第弐位相』を一部読む。
はてダをまとめた部分が大半で、それに漫画2編と小説2編、エッセイ2編が入っている。
今回はエッセイ「制御された現実とは何か」と「つぎはぎの王国」だけ再読した。

伊藤計劃記録:第弐位相

伊藤計劃記録:第弐位相

都市(環境)の構築、進化による感情の構築。”構築”と言ってしまえば簡単だ。
けれども、伊藤計劃のそれには独特の味わいがある。

彼の”構築主義”のユニークな点は、自身に宿るという「サイボーグ」感覚に由来する。
最初からサイボーグとして生まれた──他の仕方では生まれることさえできなかった──彼にとって「もしサイボーグでなかったとしたら……?」というような問いはナンセンスにうつる。

もしこの現実が”たまたま”構築されたものであれば、また別様の構築がありえる。そんな思考が成り立ちうるはずだ。
しかし、"サイボーグとして生まれた"彼にとって、構築されてしまった現実はおそろしく堅固なものだ。
MGS2について語りながら、その堅固さは絶望そのものだと彼は言う。

伊藤計劃は、構築の虚構性を暴き立てる作家ではなく、構築の堅固さや、それが必然的に感じられてしまうプロセスを描くことに卓越した作家だと思った。