「デザイン」という言葉の意味について調べてみた


このところデザインという言葉を耳にすることが増えた。
発することさえも増えた。

それは別に、ぼくが急に絵を描き始めたりウェブサイトをいじくり始めたり図面を引き始めた、というようなことではない。w

デザインという言葉をぼくが耳にしたり発したりするようになったのは、ワークショップについての議論を読んだりしたりするようになったからだ。

ワークショップのデザイン?

今秋入った研究会や自分の興味の問題で、小規模なワークショップのプログラムを考えたり、そういった場の雰囲気をどうするかを考えたり(「場」という言葉も意味が不明瞭ですね)するようになった。

この文章を読んでいる人は、こういった行為とデザインという行為の間になんかしらの関係を見出すことができるのだろうか。

たとえば、森玲奈先生の学習を目的としたワークショップ実践家の初心者とベテランを比較しそのデザインプロセスの違いを明らかにしようとした研究では、ワークショッププログラムの策定段階のことをワークショップのデザインとしている。
(ちなみに、レビューとして、プログラム策定だけでなく学習環境の全体を考えることをデザインと呼ぶ議論についても触れている)

森玲奈(2008)学習を目的としたワークショップのデザイン過程に関する研究. 日本教育工学会論文誌 31(4), 445-455
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個人的には、デザインという言葉を和訳したとき単に「設計」になるとはいえ、ワークショップのプログラムを考えることとデザインという語感、実際の行為の間の関係をまだ上手に理解できていない。
(ぼくは単に「設計」といえば、建築とかのイメージと同じくらいに「授業設計」みたいな言葉も浮かぶ気がして、「ワークショップの設計」ならあまり違和感はない感じがしてる)

デザインデザインアンドデザイン

未だにぼくは「デザイン」というと、先に書いたような図面を引いたり絵を描いたりする行為のことをなんとなくイメージしてしまう。

しかし、多少調べてみると、ワークショップに限らず最近は色々な局面でデザインという言葉を使うということに気がついた。

企業のマーケティング戦略や広告戦略を込々にしてコミュニケーションデザインという言葉を使っている(たぶん)場面に出くわしたことがそういえばあったし、「デザイン思考」というビジネス書?も売れている。

こうなってくると、デザインという言葉の意味がぼくにはよくわからなくなってくる。

先ほど「設計」なら違和感がないかもと書いたが、それも単にぼくに違和感がないというだけで、いったい何を意味しているのかという疑問が出されたら、うまく答えられない。

デザインとはなんなのだろうか。

デザインとはなにか?

少しググっただけだが、定義めいたことをやろうとしている日本語の論文を読むことができた。

以下の論文だ。デザインという言葉の意味を図案表現、問題解決、理想追求の三つに分けている。
認知科学の雑誌に載ったもので、この整理が唯一正しいものではないだろうけれども(論文内でも仮設的だとしている)、多義語すぎて困っていたぼくにとってはかなり蒙を啓かれる整理だった。

田浦俊春,永井由佳里(2010)デザインの創造性と概念生成. Cognitive Studies 17(1), 66-82.
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中身についてはあんま触れないので読んでほしいが、簡単に感想をば。

まず、ぼくが勝手に考えていたデザイン概念の理解がかなり図案表現によっていたことがわかった。先に書いた、図面引くなり絵を描くなり。

次に、問題解決としてのデザインというのについては、工業デザインなんかを頭に浮かべると非常によく理解できた。これはちょっと考えれば現実に確かにたくさんある。
ただ、最近出てきているような問題解決の思考法としてのデザインっていうのもここに入るとなると、抽象度が違うからかちょっと違和感は残る。

最後に、もっとも重要なのが、最後の「理想追求」。
この主のデザイン理解によって、かなり色々なものがデザインという概念の中にしまわれることになっているのだろうと推測している。曖昧跋扈とした「デザイン」の意味はここにありそう。
*繰り返しになるが、別にこの論文は現在使われているデザイン概念をあますことなく説明しようとすることを目的としているものではまったくない。

いいデザインできるかな

これでなんとなく大雑把なデザイン概念についてのイメージをつかめた。
先の定義を考える限り、ワークショップのデザインなんかは存分にデザインの定義に入りうると思った。

書いていて、次の疑問として、ワークショップがデザインだとしたら、ワークショップデザインにおけるよいデザインとはいかなるものなのかを考えたい。
これはただただ考えるというより、イイものをつくりだしてみることから考える必要がある、そうしないと辿りつきづらい類の問題なのではないかと思っている。

デザイン概念が氾濫しているのは、ぼくが思っていたような意味でのデザイン≒図案表現を始めとする、「クリエイティブ」な感じがするものを、ビジネスの人から教育・学習系の人まで多くの人が求めているということでもあるのだろう。
そうだとするならば、明らかに良いデザイン・クリエイティブなデザインと、あまりそうとは言えないものをよりわけることができなければならないだろう。

デザインについてそれをするのは場合によっては難しいかもしれないが、ワークショップなんかはある程度可能であろうし、それが必要な領域だろうなあとも思っている。
デザインについての評価手法が定まっている領域ってないかなあ。調べてみる必要がありそうだ。