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同人誌を出します(1):紙の本、電子書籍、デジタルファブリケーション


文フリのブースを取ることができたので、昨日太田君と初めてカッツリ企画会議をした。
そこで、そもそも「本を作る」ということについて、具体的にどういう形式がありえるのかを色々と話した。
(出す同人誌の内容自体については今度書きます、というかまだ詰まってないのだ。w)


同人誌を出す場合、たいていはインデザなんかで本の中身を作って、そのデータを印刷会社に入稿すればおkだ。そうすれば、頑張ればふつうにレベル高い「紙の本」が作れる。
しかし、当然のことながら印刷会社に頼むと多少お金がかかるし、同人誌を初めて出す(しかもたぶん少部数)ぼくらにとってそれがベストな選択なのかがよくわからない。

そう考えると、本と言えば電子書籍ということで、PDFで出せばいいのだ!タダだし!!という考えが安易に浮かぶ。
ぼくはそれもなかなかイイのではないか(ねとぽよとかは超素晴らしいものもあるし)と思ったが、太田君はモノがないとグッとこない人であったりして、とにかくそれはいやだと言う。w

それでは仮に、印刷所にも頼まない、電子ファイルとして出すわけでもない、ということにしたとすると、どういうやり方がありえるのか。


そこで、太田君がデジタルファブリケーションという考え方を教えてくれた。

デジタルファブリケーションという言葉をググってみたら、次のような定義?に出会った。

デジタルファブリケーションとはレーザーカッターやCNCマシン、3Dプリンタなどの、コンピュータと接続されたデジタル工作機械によって、3DCGなどのデジタルデータを木材、アクリルなどの様々な素材から切り出し、成形する技術である
http://okolab.net/project/3117/

この定義を読む限りだと、ちょっと本作りとの関係は想像しづらいかもしれない。

ぼくの通っているSFCの田中浩也研究室のページには次のような記述があった。

「デジタルファブリケーション」の技術的なインパクトは、「離散的な(デジタル)物質」をつくり、製造と分解が等価になるような可逆的プロセスを実現することであると考えられます。
(略)
「コンピュテーション(演算)」の結果として出力されるのは、「数」ではなく「かたち」です。タンパク質が通信しあい計算することで人体を構成するのと同様の意味です。
http://fab.sfc.keio.ac.jp/2010/?p=220

先ほどの定義に加えてこの説明を読むと、だいたいどういうことが言いたいのかわかってくる感じがする。

本をどうして作ろうかという話にも、デジタルファブリケーションの話が関わってきそうだということにも気づく。
現代において(紙の)本を作るということは、デジタルなPDFやインデザのファイルから、2Dのプリンタを通して、紙という素材を加工することを意味しているわけだ。
するとつまり、3Dプリンタは2Dのパソコン画面で作ったデータが3Dのモノになって出てくるから素朴にかなりのインパクトがあるわけだけれども、理屈としてはふつうの2Dのプリンターも似たことをしているじゃないか、ということだ。


現代における本作りが、デジタルデータから紙の本を作りだす(というか白紙の紙を印刷された紙に変える)という意味において、デジタルファブリケーション的なのかもしれない、ということがわかった。

それはいい。では、そのことに意識的になると、具体的に本を作ることにおいてなにか意味があるんだろうか。

太田君と話していて、いくつかのアイディアは出てきた。

たとえば、現代ではPDFの本のデータをプリンタで印刷し、またその本をスキャナで取り込んでデータにしたりできる。それをまた刷ることもできる。ある程度、データとモノとの間は可逆的なわけだ。
ではこれを意図的に攪乱するような本を作ったら面白いんじゃないか、という話になった。要は、本の素材をヘンなもので作ってみればいいわけだ。わら半紙で本を印刷して自分たちで製本したら(簡単な製本方法があることも調べてわかった)、文字がにじんでヘンな効果があって面白いかもしれない。
これに電子データの本もくっつけて売れば、家でそのデータを印刷してみることはできても、ふつうのコピー用紙だったらわら半紙の質感は再現できない。
デジタルファブリケーションのある意味での限界みたいなものが表現できるんじゃないか。

あるいは、少部数であることを活かして、色々な紙で本を刷ってみる。それをデータとセットで売る。
これもデータとモノとの間のズレをおもしろがる系のコンセプトだ。


これらのアイディアはまだまだ練られていないけれども(単になんの紙で刷ろうかなという話にも見えるw)、もう少し詰めていくことで、電子書籍と紙の本、データとモノとの間の可逆性と不可逆性を上手に使って結構魅力的な本が作れるんじゃないか、という気がしてきている。

そして当然ながら、これに本の中身も加わってくるわけだ(ふつうはここが本の価値を決めるだろう)。
そのコンテンツと、今日書いたような本の形式との間にどういう相互作用を作っていくか。ここまでくると、いっそうなんにも考えられていない。

*以下余談
今回の同人誌制作については作っていくプロセスを今くらいの段階からいちいちこのブログに書いていこうと思っている。
自分の記録のためと、なんか作ってみたいけどどっから手をつけていいかわからないなあという人の参考になればと思う。
これを読んだ人で、こういうのやってよ書いてよなどなんか意見とか感想がある人がいましたら、アドバイスが欲しいのでツイッターなりコメ欄なりでお願いしますですー。